スーツのジャケットの袖口付近についているボタン。
開口部がついているわけでもないし、どんな機能があるのだろうと疑問に感じている方も多いのでは?
今回は、ジャケットの袖ボタンの種類や、袖ボタンにまつわるエピソードをご紹介していきます。
まずは、スーツの袖ボタンの意味・役割について確認しておきましょう。
結論から言うと、現代のスーツにおける袖ボタンは装飾であり、とくに実用的な機能や役割を持つわけではありません。「飾りボタン」と呼ばれることもあります。
そのため、既製スーツでは袖ボタンについて注目されることはあまりなく、オーダースーツを作る際に袖ボタンの仕様を聞かれて戸惑ってしまう方も少なくないようです。
あまり注目されることがないスーツの袖ボタンですが、じつはいくつかの種類が存在します。
目立つ部分ではないからこそ、こだわることでさりげなく個性やお洒落を演出することができるとも言えます。
次は、スーツの袖ボタンの主なタイプを見ていきましょう。
スーツの袖仕様には大きく「開き見せ」と「本切羽」があります。
多くの既製スーツで見られる袖仕様が「開き見せ」と呼ばれる仕様です。
いわゆるフェイクデザインであり、袖のボタンホールは閉じられているため、実際に開くことはできません。
一方の「本切羽」は、実際にボタンを外して袖を開くことができる仕様です。オーダースーツなどで好んで採用されています。
基本的に、「開き見せ」と「本切羽」のどちらの仕様もビジネスシーンやフォーマルシーンで着用することができます。
一般的なスーツのジャケットには、3つから4つの袖ボタンが配置されていますが、その並び方も「並べボタン」と「重ねボタン」の2種類があります。
「並べボタン」はその名の通り、ボタンが隣り合うように並べられた仕様。一方の「重ねボタン」は、ボタンの端が重なるように並べられた仕様です。
重ねボタンは遊び心があるお洒落な仕様ではありますが、冠婚葬祭などのフォーマルシーンでは避けたほうが無難と言えます。
ジャケットのさりげないお洒落を演出できる袖ボタンですが、その起源にはナポレオンにまつわる興味深い説があります。
その一説によると、1812年、ナポレオンは60万の大軍を引き連れてロシア遠征を行いますが、あまりの寒さのため、多くの兵士が洋服の袖先で鼻水をぬぐうことに。
整列した軍隊の前を見回った際、兵士たちの袖が汚れたりテカったりしているのをみて、隊の威厳が失われることを憂慮したナポレオンが、その後は鼻水をぬぐうことができないよう、袖口にボタンをつけるよう命じたというのです。
この起源説の真偽のほどは不明ですが、スーツのディティールの歴史や起源に思いをはせると、より愛着が湧いてくるのではないでしょうか。
今回は、意外と知られていないスーツの袖ボタンの種類や、その起源についての説をご紹介しました。
袖ボタンをはじめとしたスーツのディティールに注目し、より自分らしいスーツスタイルを目指してみてはいかがでしょうか。