スーツは型(パターン)をもとに作成するもの。体にフィットさせたり美しく見せたりする目的で、適所に肩パッドや芯などを配置しながら作られています。ただ、生地を完全に縫い合わせてあるわけではないため、着方や保管の仕方によってはバランスを保てなくなり、いわゆる型崩れを起こしてしまうことも。
そこで今回は、ジャケットを型崩れさせない着方を伝授。本来のフォルム、シルエットを長く維持するための方法について解説します。
スーツの型崩れを防ぐには、保管方法に注意が必要です。
まずは、スーツ保管時の注意点を確認していきましょう。
スーツを保管するときは、スーツ用の厚みがあるハンガーを利用するのが好ましいです。
スーツは立体的に仕立てられているため、厚みのない一般的なハンガーに掛けていると、肩や襟部分の肩が崩れやすくなります。
保管時の型崩れを防ぐためにも、スーツ専用ハンガーを使って保管するようにしましょう。
スーツは基本的に、着用時についた軽いシワであれば、ハンガーにかけて2~3日すると自然に回復します。
しかし何日も連続して着用すると、回復する時間がなくシワが定着してしまいます。また、生地の摩耗も激しくなり、スーツの寿命を早めてしまう原因になります。
クリーニングの頻度にも注意が必要です。
必要以上に高頻度でクリーニングしてしまうと、徐々に生地が摩耗して型崩れしやすくなってしまいます。
スーツのクリーニング頻度は、冬場は1シーズンに1回程度、夏場は2週間に1回程度が一般的。必要以上にクリーニングに出すのは控えましょう。
ジャケットが型崩れするきっかけは思わぬところに潜んでいます。
たとえば、通勤電車でつり革をつかむと、腕の動きに合わせて片側だけが引っ張られます。そのため、縫い目がつったり、生地の織り目が不自然な伸び方をしたりして、生地を傷めてしまうことがあるのです。
座る際にも注意が必要です。ジャケットは立っている姿勢を基本に作られています。そのため、ボタンを留めたまま座ると無理が生じ、生地が強い力で引き伸ばされてしまうのです。
つり革につかまったり、座る姿勢になるときは、フロントのボタンを外すよう心がけてください。生地へのダメージを回避し、型崩れを防ぐことができます。
そのほか、重いものをずっとポケットに入れたままにしておいたり、デスクワーク中に椅子にかけたりするのもおすすめできません。また、ショルダーバッグを使う場合は、跡やクセがつかないよう、ときどきかける向きを変えるとよいでしょう。
スーツのジャケットは、着用を重ねるごとに体型や体の動かし方に合わせて少しずつ形を変え、体になじんでいくものです。
その意味では、ダメージさえも自分らしさといえるかもしれませんが、ジャケットは日々懸命に戦うあなたの体を守る大切な鎧。できるだけいい状態を維持するためにも、細かなことに気を配ってあげてください。
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