「センターベント」と「サイドベンツ」の違いとは?
スーツやジャケットを選ぶ際、「ベント」という言葉を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。
「センターベント」や「サイドベンツ」など、聞きなれない言葉にどちらを選ぶべきか迷ってしまうケースは少なくありません。
そこで今回は、ジャケットの「ベント」とは何か、そしてベントの種類や選び方についてご紹介します。
【目次】
そもそも「ベント」とは、ジャケットの裾にあるスリット(切れ込み)を指し、ジャケット着用時の動きやすさを高めるためのものです。
購入したばかりのジャケットで、×のしつけ糸で留められている切れ目が「ベント」です。
ビジネススーツにおいては、後見頃の中央に切れ込みが入った「センターベント」と、後見頃の両サイドに切れ込みが入った「サイドベンツ」の2種類が一般的。
ベントの種類によってスーツ姿の印象が変わるため、その特徴の違いについて理解しておくとよいでしょう。
ビジネススーツでよく見られる「センターベント」と「サイドベンツ」には、それぞれ異なる起源があります。
では、センターベントとサイドベンツの起源について確認していきましょう。
センターベントはもともと、乗馬をする際に上着の裾幅が狭いことで窮屈になるのを防ぐために考案されたといわれています。
そのためセンターベントは「馬乗り」と呼ばれることもあります。
サイドベンツは、かつて腰に帯刀が許された時代、騎士たちが剣を抜く際に上着が邪魔にならないように取り入れられたものだといわれています。
「剣吊り」という別名があるのはそのためです。
次は、「センターベント」と「サイドベンツ」の特徴と選び方について見ていきましょう。
どちらもビジネスシーンで着用可能な仕様ではありますが、見え方や印象はお菊異なります。
それぞれの特徴を知った上で、自分に合ったベントを選びましょう。
後見頃の中央に一本の切り込みが入ったセンターベントは、スタイリッシュな印象が特徴的。
身体の動きに合わせてジャケットの裾が広がってしまうのを最小限に抑えてくれるため、シンプルですっきりとした着こなしに適しています。
近年のビジネススーツの主流といえる細身のスーツや丈が短めのスーツは、多くの場合センターベントが取り入れられています。
スタイリッシュですっきりとしたシルエットが好みの方は、センターベントがオススメだと言えるでしょう。
後見頃の両サイドに切り込みが入ったサイドベンツは、優雅で威厳のある印象が特徴です。
体の動きや風の流れに合わせて裾がなびく様子がエレガントで、英国調の丈が長めのクラシカルなスーツとの相性が良いとされています。
また、パンツのポケットに手を入れたとき、センターベントだとウエストから裾にかけてキュッとヒダが入りますが、サイドベンツならシルエットにほとんど変化が出ません。
クラシカルな雰囲気が好みの方や、ヒップ周り(腰囲)が大きめの方にもオススメです。
ビジネススーツによく見られるセンターベントとサイドベンツの他にも、「ノーベント」や「フックベント」と呼ばれる仕様もあります。
番外編として、ノーベントとフックベントについてもご紹介します。
「ノーベント」とは、その名の通り切れ込み(ベント)が入っていないものを指します。
「センターベント」や「サイドベンツ」が動きやすさを考慮して切り込みが入っているのに対し、ノーベントはフォーマルさに重きを置いています。
そのため、冠婚葬祭に着る礼服などに用いられることが多く、ビジネススーツではあまり見かけない仕様となっています。
センターベントの一種である「フックベント」についても触れておきましょう。
フックベントはベントの上部がカギ型になっており、アイビー調のジャケットやモーニングコートなどに見られるディティールです。
一般的なビジネススーツではあまり見ることはありませんが、オーダースーツでさりげないオシャレとして取り入れる方もいらっしゃいます。
普段はあまり気にかけることがないベントですが、種類ごとにそれぞれの起源があり、ストーリーがあります。
スーツの着こなしを考える上で、軽視してもいいディテールは1つだってありません。美しさは細部にこそ宿ります。
ぜひ細かいところにも気配りして、ビジネススタイルを自分らしくアップデートしてください。
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